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「そのハウスメーカー、聞いたことないですけど大丈夫ですか?」
家を建てると決めたとき、何人かにそう言われました。積水ハウスでも住友林業でも一条工務店でもない会社を選んだ理由、そして2年半住んでみた正直な感想を書きます。
私たちが選んだのは関東ではマイナー、東北では有名な会社
我が家のハウスメーカーは、全国的な知名度は高くありませんが、高気密・高断熱の木造住宅に特化したメーカーとして、知る人ぞ知る存在です。
構造は2×6工法(一般的な2×4より断熱性が高い)。断熱スペックを見ると、その性能の高さがわかります。
| スペック | 数値 |
|---|---|
| 断熱グレード | Heat20 G2レベル |
| UA値 | 0.31 |
| C値 | 0.6 |
| Q値 | 0.97 |
数字が並んでいても伝わりにくいかもしれませんが、これは日本の住宅基準から見てもかなり高いレベルです。特にUA値0.31は、夏も冬も外気の影響を受けにくい家になっています。

大手以外を選んだ理由
「時を経て美しい」というコンセプトへの共感
このメーカーさんのコンセプトは「時を経て美しい」です。これは我が家の価値観に近いものでした。使い込むほど味が出る家具を選び、長く使えるものにお金をかけてきた私たちにとって、家そのものもそういう選択をしたかった。
素材や技術に本気でこだわっているメーカーだと感じたことが、選んだ一番の理由かもしれません。
設計の自由度が高かった
選んだもうひとつの大きな理由が、設計の自由度の高さです。
夫は一級建築士の資格を持っていますが、本業があるため実施設計や確認申請はメーカーさんに依頼しています。夫が担当したのはいわゆる基本設計の部分で、プランや立面図、断面図などを何度も描いてはハウスメーカーさんと打ち合わせを重ね、プランを最終化していきました。図面の詳細化から行政手続きまでの実務はハウスメーカーさんにお任せする、一般のお客さんと同じかたちです。
そのおかげで、我が家には「普通のハウスメーカーではできないかもしれない」という要望をいくつも持ち込むことができました。夫が基本設計で実現したいと描いたことを、ハウスメーカーさんがどこまで受け止めてくれるか——その点で期待以上でした。
たとえば、我が家のキッチンは長さ約3.8メートルあります。日本のほぼすべての大手キッチンメーカーに問い合わせて、実現できたのは1社だけでした(タカラスタンダード)。営業担当がメーカーと何度も交渉してくれて、最終的には継ぎ目もほとんどわからない仕上がりになりました。

天板の継ぎ目、完成するまでずっと心配していたんです。でも実際に見たら、どこが継ぎ目なのかまったくわからなくて。営業さんとタカラスタンダードさんには本当に感謝しています」


もうひとつ、マニアックな例を挙げると「軒先の納まり」です。通常は屋根を外壁より少し出すことが一般的ですが、私はモダンでスッキリとした海外の住宅のような雰囲気を望んでいて、軒先を外壁から出さないデザインを採用しました。
これは私のような素人がイメージするよりはるかに難しい納まりのようで、ハウスメーカーによっては断られる可能性があるそうです。私たちが選んだメーカーさんは、屋根メーカーと一緒に新しい詳細図を検討してくれて、性能とデザインの両立を実現してくれました。
外壁材の選択肢が独特
採用した外壁は、ドイツ生まれの「アルセコ」という工法です。外断熱と外壁材が一体になっており、目地なしの吹付け仕上げが可能です。
日本のサイディングは目地が当然のように入りますが、私はその目地が好みではありませんでした。アルセコはその問題をクリアしていて、海外のシンプルな住宅のような外観を日本で実現できる数少ない選択肢のひとつだったと思います。
2年半住んで感じる、正直な評価
良かったこと
断熱性能は本物でした。 夏はエアコンをつければすぐに涼しくなり、冬は暖房が少なくても暖かさが続きます。光熱費の削減という意味でも、長期的に見ると断熱性能に投資した価値があったと感じています。



「UA値0.31というのは、北海道・東北レベルの断熱性能。最初から性能だけは絶対に妥協したくなかった。家は後から断熱を上げることが難しいから、建てるときに全力でやっておくべきだと思っていた」
施工精度が高かった。 細かな造作部分の仕上がりを見ると、職人の腕が良かったのだと思います。特に2階の大工さんは技術がある方で、勾配天井に埋め込みのカーテンレールを天井と同じ面に納めるという難しい加工を実現してくれました。おかげでカーテンが空間に美しく馴染んでいます。





「このカーテンレール、天井と完全にフラットなんです。夫に言われるまで普通と何が違うのかわからなかったんですが、見慣れるとこれがないと落ち着かなくなりました」
長く付き合えそうな関係。 施工後もアフターフォローの対応は丁寧で、小さな疑問にも答えてもらえています。大手の場合は担当者が変わることも多いですが、我々の場合は担当との関係が続いている感覚があります。
気になったこと
知名度が低いぶん、情報が少ない。 家づくりの過程で他の施主のブログやSNSを参考にしたいと思っても、大手メーカー以外は情報が少なく感じました。不安になることもありましたが、実際に建ててみると心配は不要でした。
大手より打ち合わせの密度が高くなる。 設計の自由度が高い分、「これはどうしますか?」という判断を求められる場面が多くなります。それ自体は良いことでもありますが、時間と思考力が必要だと感じました。
「注文住宅」という言葉の意味を考えた
家づくりを経験して気づいたことがあります。それは、「注文住宅」という言葉の定義がメーカーによって大きく異なるということです。
町の工務店から大手ハウスメーカーまで、多くの会社が「注文住宅」と名乗っています。でも実際には、「自社の商品・プラン・仕様の組み合わせの中から選べる」ことを注文住宅と呼んでいる会社も少なくありません。
このように、「今まで作ったことがない納まり」でも一緒に考えてくれるメーカーは、そう多くないかもしれません。自分たちが「こうしたい」という想いが強いなら、どこまで応えてもらえるのかをしっかり確認してから依頼先を決めることが大切なのではないでしょうか。



「設計の自由度を確認するには、ちょっと無理めの要望を最初に伝えてみるといい。そこでの反応で、本当に対応してくれるメーカーかどうかがわかる」
まとめ
私たちはこのメーカーさんを選んで後悔はありません。ただ、どんなメーカーが「正解か」は人によって違うと思います。
断熱性能や設計の自由度を重視するなら、大手よりも特化型のメーカーを調べてみる価値はあると思います。一方で、施工事例の多さや安心感を優先するなら、大手にも強みがあります。
大切なのは、1社に絞る前に複数のメーカーのプランを比べてみることです。比較することで初めて、何が自分たちにとって大事なのかが見えてくることもあります。



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