キッチン3.8mを実現するまで。IKEAを諦めて気づいたこと

キッチンの長さは3.8m。最初にそう伝えたとき、複数のメーカーから「それは対応できません」と言われました

海外では珍しくないサイズなのに、なぜ日本ではこんなに難しいのか。IKEAを最初の候補にして、調べて、悩んで、それでもようやく実現するまでの話をします

目次

IKEAのキッチンで実現しようとしていた

3.8mにしたかったのは、私がメジャーで測ったから

3.8mというキッチンの長さは、私が自分でメジャーを使って出した数字です

「これくらいあればいい」と感じた長さを実際に測って確かめました。日本でよく見るアイランドキッチンも候補に考えましたが、部屋の中央にスペースを取る形になるため、我が家の2階のワンルーム的な間取りには合わないかもしれない、という気持ちがありました。壁付きのI型のほうが空間を有効に使えると感じていて、それで長さを優先することにしました

ちなみに日本の一般的なI型キッチンは2.7mが多いそうです

建築士夫 / 「日本では2.7mが標準になっているけど、海外では3〜4mは珍しくない。これくらいの長さがあると、作業しながら横に置けるスペースが全然違ってくる」

最初の候補はIKEAだった

長さを確保しながらデザインも妥協したくない、と考えたとき、最初に思い浮かんだのがIKEAでした。海外ブランドだからサイズの自由度が高いだろう、という単純な発想です。ショールームに行き、プランニングツールで配置もシミュレーションして、「これで行けるかもしれない」という気持ちになりかけていました

調べていくうちにわかった、2つの壁

「部材は入るかどうかはその時にならないとわからない」という世界

IKEAのキッチンについて深く調べていくうちに、最初の引っかかりが出てきました

部材の調達タイミングの問題です。設計が決まってから実際に施工するまでには、数か月の時間があります。その間に「選んでいた扉のカラーや天板が欠品している」ということが実際に起きることがあるようです

リノベーションなら既存のキッチンを使いながら待てますが、新築は違います。工程が決まっていて、キッチンが来なければ工事が止まる。「その時になってみないとわからない」という前提のまま進めることはできませんでした

施工精度は、職人と届いた部材次第

もうひとつ気になったのが、施工の話でした

IKEAのキッチンは基本的にDIY前提です。プロに依頼しても、施工内容はその職人のスキルと届いた部材によって仕上がりに差が出ることがあるとのこと。引き出しのラインが揃わない、隙間の間隔が均等にならない——そういうことが「普通に起きる可能性がある」と知ったとき、IKEAという選択肢への迷いは大きくなっていったように思います

ショールームに置いてある美しい陳列が、自分の家で必ず再現されるとは限らない。そう理解してからは、別の選択肢を探す気持ちが強くなっていきました

日本のキッチンメーカーを、ほぼ全社に聞いた

「対応できません」が続いた

IKEAへの迷いが出てきたタイミングで、夫が国内のシステムキッチンメーカーへの問い合わせを始めました。ハウスメーカーの担当者も一緒に動いてくれましたが、返ってくる答えはほとんど同じでした。「システムキッチンの規格として対応できるサイズではありません、難しいです」という内容でした

海外では珍しくないはずのサイズが、なぜこんなにも壁に当たるのか。そのもどかしさが少しずつ積み重なっていった時期だったと思います

最後の1社が「やってみます」と言った

それでも夫が当たり続けてくれたおかげで、ある1社から違う答えが返ってきました

「できると思いますが、前例がほとんどないので、もし継ぎ目が出ても保証はできません」

日本製品の品質と職人さんの腕を信じていたので「できると思います」という言葉で十分でしたし、とてもほっとしました

完成して2年半、毎日の景色

前例がないと言われていた継ぎ目は、なかった

引き渡しの日、キッチンを確認したとき、正直驚きました

3.8mの天板に、継ぎ目が見当たりません。「保証はできない」と先に言われていた部分が、拍子抜けするほどきれいな仕上がりでした。毎日触れるものだから、この仕上がりは本当にうれしかった

天板の美しさというのは、キッチンに立つたびに小さな満足感として戻ってくる気がしています

この長さで気づいたこと

2年半使って、3.8mというサイズは正解だったと思っています

以前の家では、料理中に作業スペースがなくなることがよくありました。鍋を置いたら横に切った野菜が置けない、洗い終わったものを立てかけたら次の作業ができない——そういう「詰まり」がなくなったのが、いちばん大きな変化だと感じています

この広さが当たり前になってしまったので、もう戻れないかもしれません、というのが夫との共通見解になっています


まとめ

キッチンひとつに、こんなにたくさんの選択とプロセスがあるとは思っていませんでした。IKEAへの期待と現実の壁と、夫の粘り強い問い合わせと。答えにたどり着いたのは、結局「諦めなかったから」だと今は思います

注文住宅のキッチン選びで悩んでいる方の参考に、少しでもなれたらうれしいです

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